『タカラトミー全世界で販売―人気キャラ「ポケモン」玩具―』

 『タカラトミーは、人気キャラクター「ポケットモンスター」の玩具を全世界で展開する。日本とアジアに加え、新たに欧米など、その他地域で玩具を企画・販売する権利を取得。商品開発やブランド戦略を統合することで効果的に世界市場を開拓する。国内玩具市場が縮むなか、成長しているキャラクター商品の世界市場を舞台にポケモン事業を3年間で300億円強に増やす。』

(2012/10/04日本経済新聞朝刊 第9面より抜粋)

 

~コメント~

 タカラトミーが昨年買収した米中堅企業が欧米で広く販路を持っていたことで、海外での一括展開も可能となり、ブランド戦略も立てやすくなるという。現在ポケモンの関連商品の海外市場規模は年間1400億円程度で、主に家庭用ゲームやカードゲームが中心である。家庭用ゲームの販売時期とともに玩具販売を展開させれば、相乗効果でさらに市場は膨らむであろう。


タカラとトミーの合併(2006年)

新会社「タカラトミー」

玩具2位のタカラと玩具3位のトミーは2006年3月に合併して新会社「タカラトミー」となった。

単なる「おもちゃメーカー」からの脱却を目指した。

富山幹太郎社長、佐藤慶太副社長

合併する前の2005年8月、タカラとトミーの社長が記者会見を行った。

新会社の社長に就任する富山幹太郎トミー社長は「一緒になったときの期待が高まっている」と語った。

副社長になる佐藤慶太タカラ会長は「前向きな衝突はあるが順調」と語った。

2005年5月に行われたトミーとタカラの統合交渉では創業家出身の両トップが主導権争いを演じた。

トミーとタカラは半世紀にわたってライバル関係にあったのだから、それはある意味、しかたなかった。(有宗

バンダイを合わせて御三家

両社の創業の地はともに東京の下町。バンダイを合わせて御三家と称される。

戦後、対米輸出と高度経済成長で発展した。団塊世代におもちゃを提供した。

しかし1980年代に入ると玩具市場に電子化の波が押し寄せた。

任天堂のファミコン

花札などのカードゲームが主力だった任天堂がテレビゲーム「ファミリーコンピュータ」で台頭した。

コンピューター・ゲームメーカーが次々に誕生。

一大業界を形成し、団塊ジュニアを引きつけた。


「ベイブレード」「リカちゃん」「トミカ」「プラレール」

21世紀になると、玩具はインターネットやパソコン、スマホ・携帯電話の一部となった。

とはいえ、奇抜なアイデアでヒット商品を出すタカラと、定番商品を基盤に置くトミーでは企業風土が異なっていた。

また、タカラは「ベイブレード」「リカちゃん」など小学生以上に強かった。

トミーは「トミカ」「プラレール」と未就学児向けが得意だった。

佐藤タカラ会長は「(合併で)おもちゃ屋を完ぺきにつくれる商品構成になる」と話した。

版権を持つ「ポケットモンスター」や「みなしごハッチ」といったアニメなどのキャラクターを多角的に有効活用するコンテンツビジネスを積極的に展開することになった。(JDP

キャラクタービジネス

合併当時、国内の玩具市場は7000億円だった。

少子化による縮小傾向が続いていた。

しかし、周辺に位置するゲーム市場は家庭用だけで4000億円、キャラクター関連ビジネスは1兆円以上とされた。

おもちゃの枠を越えればビジネスチャンスは拡大する。(井上


インデックスの落合正美会長が筆頭株主

バンダイは、ゲーム業界のナムコと2005年9月末に統合した。

インデックスの落合正美会長(日商岩井出身)は、合併の橋渡し役だった。さらに、新会社の筆頭株主になった。

なお、インデックスは2013年に倒産した。(長坂